エンタープライズ データ管理アーキテクチャ

Spectrum™ Technology Platform では、包括的なエンタープライズ データ管理処理を構築できます。あるいは、対象をさらに絞り込んだソリューションとしてこれを活用することも可能です。次の図は、ソースからデータを取得し、データ強化およびデータ品質処理を経て、マスター データ管理ハブに引き渡す、包括的なソリューションを示したものです。MDM ハブは、データの単一のビューを作成して複数のビジネス アプリケーションに提供します。



データ検出

データ検出は、データ リソースをスキャンしてデータの状況を詳細に把握するプロセスです。Spectrum™ Technology Platform は、さまざまなデータプロファイリング手法を使用して、構造化されたデータ、構造化されていないデータ、および一部分のみ構造化されたデータをスキャンできます。スキャン結果は、会社のデータ アセットを記述するドキュメントのライブラリの生成とメタデータ リポジトリの作成に自動的に使用されます。このドキュメントと付属のメタデータ リポジトリから提供される情報を十分に吟味したうえで、データ統合、データ品質、データ制御、またはマスター データ管理プロジェクトを始めてください。

Spectrum™ Technology Platform のデータ検出モジュールの詳細については、営業担当者にお問い合わせください。

データ統合

データの状況を把握したら、次は、管理する必要があるデータへのアクセス方法を検討する必要があります。Spectrum™ Technology Platform は、複数のソースのデータに直接接続できます。また、既存のデータ アクセス手法を統合した方法で接続することもできます。データ ウェアハウス、データ品質、システム統合、移行といった多様なビジネス ニーズに対応するバッチおよびリアル タイム データ統合機能をサポートします。Spectrum™ Technology Platform は RDBMS データベース、データ ウェアハウス、XML ファイル、フラット ファイルなどのデータにアクセスできます。Spectrum™ Technology Platform は、複雑な結合や集計を含むSQL クエリをサポートし、視覚的なクエリ開発ツールを提供します。また、Spectrum™ Technology Platform は REST および SOAP Web サービスを介してデータにアクセスできます。

Spectrum™ Technology Platform は、指定されたフォルダ内の1つ以上のソースファイルの存在チェック結果に基づいてバッチ処理をトリガできます。この "ホット フォルダ" トリガは、FTP アップロードの監視と、アップロード直後の処理に役立ちます。

これらのデータ統合機能の一部には、Enterprise Data Integration モジュールのライセンスが必要です。詳細については、営業担当者に問い合わせてください。

最後に、Spectrum™ Technology Platform は SAP や Siebel などのパッケージ アプリケーションと統合可能です。

データ品質/ガバナンス

データ品質およびデータ ガバナンス処理では、重複レコード、矛盾した情報、不正確な情報がないか、データを確認します。

重複マッチングは、重複レコードの可能性や、レコード間の関連性を特定します。データが実際の名前や住所であるか、または他の種類の顧客情報であるかは関係ありません。Spectrum™ Technology Platform では、boolean 型マッチング方式、スコアリング方式、しきい値、アルゴリズム、および重みを使用する一貫したビジネスマッチルールを指定して、レコードのグループに重複が含まれているかどうかを調べることができます。Spectrum™ Technology Platform は、多種多様なカスタマイズをサポートしているため、ビジネス固有のニーズに適合するようにルールを調整できます。

重複レコードを特定したら、それらのレコードを統合することもできます。Spectrum™ Technology Platform は、重複レコードをリンクまたは結合して、収集した顧客情報から最も正確かつ包括的なレコードを作成する方法を指定できます。例えば、ある世帯のすべてのレコードに基づいて、1 つの Best-of-Breed (最良の組み合わせ) レコードを作成できます。重複の特定とその排除には、Advanced Matching モジュールを使用します。

データ品質処理では、データの正規化も行われます。正規化は、きわめて重要な処理です。レコードの照合とレコード間の関連性の識別において、最も可能性の高い結果を得るために、正規化データ要素が必要であるためです。モジュールによっては、複数のタイプの正規化を実行するものもありますが、Spectrum™ Technology Platform の Data Normalization モジュールは最も包括的な正規化機能セットを備えています。また、Universal Name モジュールは、個人名や企業名データを処理するための特定のデータ品質機能を提供します。

正規化データは、必ずしも正確なデータではありません。Spectrum™ Technology Platform は、データを既知の最新の参照データと比較して、その妥当性を確認できます。この処理に用いられるソースとしては、米国郵政公社などの規制機関、Experian やD&B などのサードパーティのデータプロバイダ、会計データなどの企業内の参照ソースがあります。Spectrum™ Technology Platform は、住所データの検証に特に優れています。世界中の 250 の国および地域の住所の検証または正規化が可能です。住所の検証を実行するモジュールには、Address Now モジュールと Universal Addressing モジュールの 2 つがあります。

どちらのモジュールがニーズに適しているかは、営業担当者と相談して判断してください。

Spectrum™ Technology Platform は、幅広いデータ品質問題を自動的に処理できますが、データ スチュワードによる手動確認が適切である場合が存在します。これをサポートするために、Business Steward モジュールでは、手動確認をトリガするルールを指定するための方法と、例外レコードを確認するための Web ベースのツールが提供されています。確認および解決処理においてデータ スチュワードを支援するための、Bing マップや Experian データといったサードパーティ ツールへの統合アクセスも含まれています。

データ強化(データ・エンリッチメント)

データ強化処理は、追加情報によってデータを増補します。強化は、データに詳細情報を追加するためにユーザが使用したいと考える、空間データ、マーケティング データ、または他のソースからのデータに基づいて行うことができます。例えば、顧客住所のデータベースが存在する場合、住所のジオコーディングを行って、住所の緯度/経度座標を特定し、その座標をレコードの一部として保存することができます。これによって顧客データは、顧客に最も近い銀行支店の検索など、多様な空間分析に使用できるようになります。Spectrum™ Technology Platform では、データをさまざまな情報で強化できます。例えば、ジオコーディング (Enterprise Geocoding モジュールを使用)、税務管轄区域の割り当て (Enterprise Tax モジュール)、地理空間分析 (Location Intelligence モジュール)、2 点間の車移動または徒歩経路 (Enterprise Routing モジュール) の情報を利用できます。

マスター データ管理ハブ

マスター データ管理 (MDM) ハブは、エンティティと、その役割、処理、やり取りの間の複雑な関連性の迅速なモデリングを可能にします。ソーシャル ネットワーク分析機能が組み込まれており、インフルエンサー (influencer) の理解、チャーンの予測、明白でない関係や不正パターンの検出、レコメンデーションを支援します。

Spectrum™ Technology Platform は、MDM ハブに対する 2 つのアプローチをサポートします。マスター ハブのアプローチでは、データは単一の MDM データベースに維持され、アプリケーションは MDM データベースからデータにアクセスします。レジストリのアプローチでは、データは各ビジネス アプリケーションに維持され、MDM ハブ レジストリに、関連レコードの検索に用いられるキーが含まれます。例えば、顧客のレコードが、注文入力データベースと顧客サポート データベースに存在する場合があります。この場合 MDM レジストリには、両方の場所の顧客データへのアクセスに使用できる単一のキーが含まれます。

Data Hub モジュールが、MDM 機能を提供します。