マッチング オプション

GeocodeUSAddress のマッチング オプション

マッチング オプションは、住所検索の実行方法を指定するために使用します。マッチング オプションによって、マッチングの優先設定、条件、制約や、複数のマッチ設定を指定し、マッチングの精度を必要なレベルに設定することができます。

Parameter 説明

AddressPreference

複数の住所が住所ブロックに存在する場合にどの住所を使用するかを決定します。

PreferPOBox
私書箱を使用します。
PreferBottom
入力された 2 行目を使用します。こちらがデフォルトです。した場合には、この値を選択する必要があります。
PreferStreetAddress
ストリートの住所を使用します。

FirmNameSearch

企業名のマッチング ロジックを使用して住所マッチングを強化するかどうかを指定します。企業マッチングのロジックでは、入力に含まれる企業名と認識されている企業名とのマッチングを行います。入力企業名の綴りが正しくなくてもマッチを取得できることがあります。企業名のマッチングには、Soundex アルゴリズムが使用されます。マッチングの実行にスイート番号やユニット番号は必要ありません。

注: このタイプのマッチは CASS モードでの処理時には利用できません。

次のいずれかです。

Always
常に、企業名のマッチングを使用したマッチングを試みます。企業名のマッチングに失敗した場合は、住所マッチングを使用したマッチングを試みます。
OnAddressLineFail
住所マッチングではマッチを決定できない場合に限り企業マッチングを使用します。
Never
企業マッチングを使用しません。こちらがデフォルトです。[Never] を指定しても、住所行データを使用して一致が検出できる場合は、企業名が修正される可能性があることに注意してください。

BuildingSearch

スイート番号もユニット番号もない建物名が入力住所に含まれている場合に、ストリート住所の取得を試みるかどうかを指定します。

このオプションが無効になっている場合、ジオコーダは、ユニット番号が入力された場合のみ、建物名とのマッチングを実行できます。例えば、建物検索のオプションが無効になっている状況で次の入力を与えた場合、

5001 Chrysler Bldg
New York, NY 10174

次のストリート住所が返されます。

405 Lexington Ave
RM 5001
New York, NY 10174-5002

このオプションが有効になっている場合、ジオコーダは、ユニット番号なしで建物名のみが指定された場合でもストリート住所を取得できます。例えば、このオプションを有効にして次の住所を入力します。

Chrysler Bldg
New York, NY 10174

すると、次のストリートの住所が得られます。

405 Lexington Ave
New York, NY 10174-00

注: このタイプのマッチは CASS モードでの処理時には利用できません。
Y
企業名のマッチング ロジックを使用します。こちらがデフォルトです。
N
企業名のマッチング ロジックを使用しません。

FirstLetterSearch

ストリート名の最初の文字が欠落しているか正しくない場合に適切な最初の文字を探すかどうかを指定します。このオプションが有効になっている場合、ジオコーダは、アルファベット全体から適切な最初の文字を探し出してストリート住所を補完します。

注: このオプションは、マッチ モードが完全一致に設定されている場合には使用できません。
Y
最初の文字の検索を実行します。
N
最初の文字の検索を実行しません。こちらがデフォルトです。
次の例は、最初の文字が正しくないものです。

入力: 4750 nalnut boulder co 80301
出力: 4750 Walnut St Boulder CO 80301-2532

次の例では、最初の文字が欠落しています。

入力: 4750 alnut boulder co 80301
出力: 4750 Walnut St Boulder CO 80301-2532

次の例では、最初に不要な文字が含まれています。

入力: 4750 wwalnut boulder co 80301
出力: 4750 Walnut St Boulder CO 80301-2532

PredictiveLastLine

GeocodeUSAddress で、最終行が入力された従来のストリート住所ではなく、ストリート住所と入力された緯度/経度座標を使用してマッチングを行うかどうかを指定します。

Y
最終行予測処理を有効にします。
N
最終行予測処理を無効にします。こちらがデフォルトです。

詳細については、最終行予測を参照してください。

PerformDPV

Delivery Point Validation (DPV) を使用して住所を処理するかどうかを指定します。DPV とは、住所情報の精度を物理的な配達ポイントのレベルまで検証できる米国郵政公社 (USPS) のテクノロジーです。このフィーチャーを使用するには、別途 DPV 処理オプションのライセンスを取得する必要があります。また、DPV データベースのインストールも必要です。

DPV を使用する場合は、この処理オプションを有効にして OutputRecordType に D を指定します。

Y
DPV を実行します。
N
DPV を実行しません。こちらがデフォルトです。

DPV を使用すると、複数の一致が自動的に解決されます。

誤検出住所 (シード レコードとも呼ばれます) とは、DPV データからメーリング リストを作成しようとする利用者が現れないように USPS が監視している住所です。ジオコーダによって、入力データの住所が誤検出住所にマッチした場合、誤検出住所にヒットしたことを示すメッセージが届きます。処理はジョブの最後まで続行されますが、誤検出住所へのヒットをテクニカル サポートに報告して新しいセキュリティを受け取るまでは、このジョブと以降のジョブでは DPV 処理を利用できなくなります。

PreferZipCodeOverCity

入力 ZIP に一致する候補を入力都市名に一致する候補よりも優先するかどうかを指定します。

注: このオプションは CASS モードでの処理時には利用できません。
Y
入力 ZIP Code に一致する候補を優先します。
N
入力都市に一致する候補を優先します。こちらがデフォルトです。

例えば、次の入力住所を考えます。

301 BRYANT ST
SAN FRANCISCO CA 94301

このオプションが有効になっていない場合、最良一致は入力都市名に一致するものになります。

301 BRYANT ST
SAN FRANCISCO CA 94107-4167

このオプションが有効になっている場合は、入力 ZIP Code に一致するものが最良一致になります。

301 BRYANT ST
PALO ALTO CA 94301-1408

KeepMultimatch

このオプションを選択すると、入力住所に一致する可能性のあるものが複数見つかって最良一致を 1 つに特定できない場合に、一致する可能性のあるもののリストが返されます。

Y
入力住所に一致している可能性がある住所を返します。こちらがデフォルトです。
N
あいまい一致を返しません。

KeepCandidates

このオプションを選択すると、マッチング試行によって候補が得られた場合は必ず候補の住所が返されます。このオプションを有効にした場合は、入力住所に一致する住所が 1 つであっても複数であっても、ジオコーダは候補を返します。

このオプションと KeepMultimatchとの違いは、入力住所が 1 つの住所にしか一致しなかった場合に KeepMultimatch オプションでは候補が返されない点にあります。

Y
すべてのマッチング試行の候補を返します。
N
すべてのマッチング試行に対して、候補が返されるとは限りません。こちらがデフォルトです。

CloseMatchesOnly

を指定した場合、近似一致と見なされる候補のみを返すことができます。候補が近似一致であるかどうかの決定には、MatchMode オプションで指定した基準が使用されます。

Y
近似一致候補のみを返します。こちらがデフォルトです。
N
すべての候補を返します。

MatchMode

一致するものを見つける際の柔軟性を決定します。次のいずれかです。

Custom
入力住所と郵便番号データベース内の住所とのマッチング時に使用する具体的な基準を選択できます。
Exact
非常に厳格な一致を要求します。検索する一致候補の数を最小限に抑えるための制限の厳しいモードです。一致が得られるまでの時間を短縮できます。このモードを使用する際には、入力住所リストに綴りの間違いや不完全な住所などの問題がないことを確認してください。
Close
適度に信頼できる一致を要求します。適度な数の一致候補が生成されます。
Relax
最も制限の緩いモードであり、生成される一致候補数は最も多くなります。処理時間は長くなりますが、結果としてより多くの一致が得られます。住所リストに綴りの間違いや不完全な住所が含まれている可能性がある場合は、このモードを使用します。このモードでは、住所マッチングでストリートの奇数/偶数を考慮しません。こちらがデフォルトです。
Interactive
単一行住所マッチングに対してのみ使用可能です。このモードは、インタラクティブ マッチングにおける特定のマッチング問題に適切に対処することを目的に設計されています。インタラクティブ モードでは、より柔軟なマッチング パターンが可能で、緩和検索モードよりも多くの一致候補が返される場合もあります。このモードでは、同じ住所行にある 2 つのユニット番号 (建物番号とユニット番号など) を認識およびパースします。このモードでは、住所マッチングで範囲の奇数/偶数を考慮しません。
機能と制約:
  • インタラクティブ マッチ モードを適用すると、基本的な規則が回避できます。ユーザの入力が "123 S Main" で、"123 N Main" しか存在しない場合、方位記号が変更されたことを示すマッチ コードとともにマッチ結果が返されます。
  • インタラクティブ マッチ モードでは、ユーザが前置方位記号と後置方位記号の位置を入れ換えて入力するケースが、ペナルティなしで処理されます。
  • インタラクティブ マッチ モードでは、[都市名よりも郵便番号を優先] の設定を無視します。都市名と ZIP Code が正しく一致しない場合は、入力住所のすべての要素を分析した結果に基づいて、最良のジオコーディング結果を返します。
  • インタラクティブ モードの適用時に、ポイント住所や補間されたストリート住所の結果が特定できない場合は、ZIP-9 または ZIP-7 のセントロイドが返される可能性があります。
CASS
CASS 向けの USPS 規格を確実に遵守するために追加ルールを適用します。このモードの目的は、配達可能な住所のリストを作成することです。このモードでは、多数の一致候補が生成されます。その処理には、他のモードとの違いがあります。このモードでは、交差点、建物名、および空間エイリアス (TIGER および TomTom のストリート名エイリアス) によるマッチングを実行しません。USPS に該当レコードがないデータ ソースの候補とのマッチングも行われません。このモードでは、同じ住所行にある 2 つのユニット番号 (建物番号とユニット番号など) を認識およびパースします。

MustMatchInput

候補が空欄以外のすべての入力フィールドと一致する必要があるかどうかを指定します。例えば、入力住所に都市名と郵便番号が含まれる場合、都市名と郵便番号が一致する必要があります。

Y
候補はすべての入力要素に一致している必要があります。
N
候補がすべての入力要素に一致している必要はありません。こちらがデフォルトです。

MustMatchStreet

候補に対してストリート名の一致を求めるかどうかを指定します。

Y
候補はストリート名が一致している必要があります。
N
候補はストリート名が一致している必要はありません。こちらがデフォルトです。

MustMatchStateProvince

候補に対して州の一致を求める稼働かを指定します。

Y
候補は州が一致している必要があります。
N
候補は州が一致している必要はありません。こちらがデフォルトです。

MustMatchHouseNumber

候補に対して家番号の一致を求めるかどうかを指定します。入力家番号がストリートの範囲内にない場合、GeocodeUSAddress は、そのストリート上の最も近い範囲で、入力住所の番号と奇偶性 (家番号の奇数/偶数) が同じものを選択します。GeocodeUSAddress は、ストリートの奇偶性が維持されるこの範囲内で特に近似性の高い 1 つ以上の一致を返します。この場合、GeocodeUSAddress では家番号の変更が必要になります。この新しい家番号は、上記範囲のどちらかの終点の家番号、あるいはストリートの奇偶性を維持するために終点の家番号 +1 または終点の家番号 -1 のいずれかに等しくなります。

注: このオプションが無効になっていても、家番号について不完全な一致が見つかった場合には、GeocodeUSAddress はエラー コードを返します。

このオプションが無効の状態で、完全に一致する家番号が見つからなかった場合は、E029 (範囲の一致しないストリートセグメントが 1 つだけ見つかった) または E030 (範囲の一致しないストリートセグメントが複数見つかった) のどちらかのマッチ コードが返されます。

GeocodeUSAddress によって出力住所の家番号が変更されることはありません。不完全な住所番号候補にアクセスするためには、KeepMultimatch=Yを指定する必要があります。不完全な住所番号候補が返された場合、対応するマッチ コードの最初の文字は "H" になります。この文字は家番号が一致しなかったことを示します。

また、完全一致の候補が 1 つ以上見つかった場合でも、家番号に対する不完全な一致は、可能性のある候補のリスト上に残りますが、Hxx といいうマッチ コードによってその他の候補と区別できます。マッチ コードの選択の詳細については、マッチ コードを参照してください。

次のいずれかです。

Y
候補は家番号が一致している必要があります。こちらがデフォルトです。
N
候補は家番号が一致している必要はありません。

MustMatchCity

候補に対して都市の一致を求めるかどうかを指定します。都市の一致を必須としない場合、ジオコーダは特定の郵便番号に一致するストリート住所を検索し、名前は一致しないが郵便番号が一致する他の都市を候補として検討します。

Y
候補は都市が一致している必要があります。
N
候補は都市が一致している必要はありません。こちらがデフォルトです。

MustMatchPostalCode

候補に対して郵便番号の一致を求めるかどうかを指定します。郵便番号の完全一致を必要としない場合、ジオコーダはより広いエリアでマッチを検索します。マッチ候補との比較の際に完全に一致する必要がないため、結果としてパフォーマンスは低下しますが、マッチ率は向上します。

Y
候補は郵便番号が一致している必要があります。
N
候補は郵便番号が一致している必要はありません。こちらがデフォルトです。

検索条件の違い (米国と米国以外のジオコーディング

Geocode US Address のカスタム検索モードで使用される「必ず一致」条件は、米国以外のジオコーダでの「必ず一致」条件とは異なる動作をします。Geocode US Address のカスタム検索条件では、一致の候補として返されるためにどの住所要素が参照データベースと一致しなければならないかを指定します。Geocode US Address によって返されるすべての候補は、ユーザの指定した要素が参照データベースで利用できる限りそれらの要素が一致していることになります。一方、米国以外のジオコーダでは、「必ず一致」条件を使用して、どの候補が近似一致でどの候補が非近似一致であるかが決定されます。米国以外のジオコーダは、CloseMatchesOnly オプションを有効にするかどうかにより、近似候補と非近似候補の両方を返すことができます。つまり、Geocode US Address で使用される「必ず一致」条件では返される候補が自動的に制限されるのに対し、米国以外のジオコーダで使用される「近似検索条件」では返される候補が制限されません。